【報告】ゴールデンウイーク 北アルプス 槍ヶ岳・硫黄尾根登攀 ◇2008年4月26日(土)〜5月1日(木)(4泊5日) ◇26日(土)曇り/雨、他の日は全て快晴 ◇S藤H明、S見K子、S口M恵、I嵐H彰(神田山の会) H明です。ゴールデンウイークの槍ヶ岳・硫黄尾根登攀の報 告です。 北鎌レベルを想定していたのでしたが、ずっとずっと難しか ったです。 全体を通じて、先が読みにくいルーファイ、まるで頼りにな らないトポ、赤くて脆い岩など緊張の連続でした。ザイルを伸 ばしても登り着いた先は眼下絶壁といった状況が何度もありま した。 脆弱な支点からスタートしてノーピンで延々と50mも伸ば すのは、パーティー壊滅のシーンを想起させ、昨年の剣R4の 後半のピッチにも似てなんとも不気味でした。 気を緩めてもよい筈の白樺平から西鎌尾根までも、ミスの許 されない雪壁が続き、ついついザイルを出しました。 楽しいフィナーレの筈の一般登山道の西鎌尾根すらも間違っ て転んだらアウトの状況がしばらく続き、ほんとうに緊張から 解放されたのは、飛騨沢を沢床まで下ってからのことでした。 後半の3日間は、連日18時過ぎまで行動、22時過ぎ就寝、 深夜2時起床、4時半(夜明けとともに)行動開始といった厳し さでした。(起きないとS見さんに叱られます。) 久々に真顔で奮闘した登山でした。 ■アプローチ  前夜は信濃大町の焼鳥屋。未明、ダム上までタクシーが入る のを知らないで、気合を入れて3時起床、葛温泉に向うも、ゲ ートが6時半オープンというので、宿(七倉荘)に戻って二度 寝してしまいました。 仕切り直して、ダム上までタクシーで入って、湯俣の林道を 延々と歩く。キタカマ方面と別れて硫黄尾根に取り付く。 藪がヒドイが、次第に雪尾根になる。春特有のズボズボ・ラ ッセルに息があがる。 雨が降ってきたので15時前には切り上げて、テントに入っ て着衣を乾かす。 ■硫黄岳ジャンダルム群 P1からP6まであるが、1と2は何気なく通過、3456 と何回かザイルを使った・・ような気がします。 しかし、核心は硫黄岳の登攀でした。小次郎ノコルといわれ る鞍部まで急下降して、激しく登り返すのですが、雪壁と馬乗 りナイフリッジ何度か現れてシンドかったです。 ■赤岳針峰群 昔の記録には、P1からP8までを経て赤岳に至るとあるが、 どうもP7とP8が赤岳そのもののようです。 P7のナイフリッジ登攀中、2ピッチ伸ばしたところで先き 行き不透明のため、ザイルをフィックスしてコルまで戻ってテ ントを張りました。 狭いコルは、前も後ろも滑ったら果てしなく遠くまで落ちて しまう急なルンゼのためトイレ用のザイルすら張りました。 ■赤岳主峰群 P1からP5まであります。 巨大な壁に見えるP1は3ピッチ、次いで、やたらぶっ立っ た感じのP2、そして、P3以降、トゲトゲ・ツンツン感はな くなったものの、ナイフリッジが続いて疲れ果てました。 白樺平は、久々に転げても、何処にも落ちそうにない心和む 平らかな場所でした。 白樺平の夜は、すっかり緊張から解き放たれて、ふにゃふに ゃに気分になっていたのでしたが、翌朝、ふにゃふにゃ気分は 全くの間違いだったと思い知らされました。 結局、西鎌まで、外傾したランペ状の急雪壁が続き、何ピッ チかザイルを出す嵌めになりました。 ここまで来ちゃえば、と思った天下の西鎌も、両側が切れ落 ちたナイフリッジが何度も現れ、全く気が抜けませんでした。 中崎尾根のジャンクションを過ぎて、ようやく飛騨沢下降点 に到着。尻セードを交えてスッ飛びで下山しました。大量の岩 ひばりが群れて飛んでいました。