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山行報告


よみもの


02月 : 遭難寸前体験記
投稿者: admin 投稿日時: 2007-3-4 17:41:54 (3752 ヒット)

これは最近体験した出来事です。良くも悪くも参考になればと思います。なお、
最後に私なりのポイントを書きました。少しでもお役に立てばと思います。

I藤

日:2007年2月7日
メンバ:単独
形態:山ボード
山域:後立山連峰
予定ルート:白馬乗鞍岳周辺 天狗原東面の親沢
25000図:白馬岳



当初、乗鞍岳の東斜面を天狗原へ滑降し、親沢へはいる予定だったが、乗鞍岳南面を
栂池自然園へ滑りこむ。心の隅に親沢の滑降時間が押していることを気になったので、
天狗原への登りかえし時間と偵察時間を見て往路か沢を滑降することに。
 
遅く(14:30)に親沢の滑降点(約2200m)に着く。山麓まで沢を滑降する予定を、途中ま
で滑り(1800−1750m)ヒヨドリの尾根(1950前後)に上がるように変更。
天候は快晴から14時には薄グモリ、西から崩れていく予報、気温0度。快適だった南面は
冷えてクラストし始めてきた。主稜線の空は徐々に暗くなりつつある。

この沢周辺は、源頭が広く、傾斜も緩やかで、正確に地形を把握するには広い平原を歩
かねばならない。しかし、地形図では沢は最後には一つになる。
そうであれば、迷うはずはない。
急ごう。目検討で地形を把握し、チェックポイントの標高と地形を反芻し、滑降開始(14:45)。

途中、時計の高度を再計測しチェックポイントの確認を行う。
幾度目かの確認でおおまかにチェックポイントの特徴があった。高度も近い。
プラスマイナス50mの高度誤差を見越して高めで滑降を切り上げた。
予定通り1800−1850mまで滑降。
 
細かい尾根のひだで目標となるヒヨドリの尾根の特徴は見えない。
コンパスセットして高度を落とさずに登りかえし開始(15:15)。だが、尾根を何本か超えても
目的の尾根が見えない。思ったよりも地形図の距離が実際には広く感じているのだろう。
ひょっとしてと頭の隅に思いながらも、なんとなく地図と地形のつじつま合わせ、ヒヨドリと
思う尾根へ急ぐ。コンパスは動かさず、すっと登りかえす。
恐らく、この稜線に上がれば遠くまで見渡せる。休憩もせずに黙々とラッセルを
繰り返す。

尾根が近づくにつれ、ほっと一息行きつけるはずだ。朝にみた風景が見渡せる
はずだ。
不安と期待まじりに尾根に上がる(1995m 17:30?)と遠くにヒヨドリの尾根が見えた。
ヒヨドリと思っていた尾根は実は山の神の尾根だった。ノリクラスキー場へのツアー標識ら
しきものもある。先は長くなる・・・稜線下で休憩し現在位置を把握しよう。でも標識が見
えなくなるまであと一刻もない。雲はもう乗鞍岳にかかりつつある。
気温は0度。稜線は風が強い。

時間までに降りれるだろうか?
救助体制にしてもらってよいか?どんどん余裕がなくなってくる。
下降路は沢かノリクラスキー場でいいだろう。なんとなく現在地だけを確認。行動食をいくつか
口に入れ、直に出発しよう。
しかし出る前にやるべきことが一つある。沢の下降になる前に下山担当の方に連絡しなければ。
ビバークして明日視界があれば降りれるだろうが、救助体制になるかもしれない。
ダメ元で携帯電話(Softbank)の電源を入れる。電波は3本。ありがたい。
山麓の巨大なスキー場群のおかげだろう。さっそく電話連絡する。

が、留守電だ。肝心の現在位置、天候、ビバークの件などを伝える前に留守電が切れた。
20秒の伝言で電池は三本から一本に減っている・・・電話は無駄が多すぎる。連絡つき
やすい方にメールしよう。簡潔に書いていても電池がいつ切れるか気が気ではなかった。
送信後、すぐさま電源を切った。

下降開始(17:15?)。
標識があるので現在地を確認することも怠り、標識47−57?位まで足早に追うも、尾根が
曲がるあたりで見失う。ツアーコースはわかりにくい事は以前から地形図をみて知っていたので、
夜間に難しいルーファイや標識を見つける事はすぐにあきらめた。

標識を見失った箇所は、地形の特徴がない大変広い沢だった。いくつもの小尾根や小沢がある。
滑る予定なのだから沢に降りよう。この時点で自分を見失いはじめた。視界のある、
この時点で二点測量をしようとも思ったが時間がもったいないのでどんどん降りる。

広い沢をまっすぐ栂池に向けて下降開始。視界が効くうちに進みたかった。暗くなる。
今度は栂池のナイターの明かりがコウコウと見える。そのため暗くなっても下降。

が、栂池方向の行く手を阻む顕著な尾根が現れた。直接沢床へ向かっている。降りるか
悩むが目の前の尾根の高い場所まで登りかえすことにした(1550m付近)。
沢床は傾斜がない上、吹きだまり、そこを延々と歩くことになる。何よりも雪が少ないので
視界がない中、埋まりきっていない沢を下降することは危険だろう。この頃になるとメールが
送れた事もあって、気が楽になっていた。
尾根でビバークもいいだろう。位置が確認できるなら、確認し現状を把握しよう。
明日の天気が気になるが。

尾根にあがると、スキーとスノーシュウのトレースを発見。なんでこんなところに?
つい最近のもののようだ。あまり当てにならない箇所にあるので疑う。
ここで初めて顕著な地形があったため現在地と下降ルートを確認(18:40)。トレースは登って
いるのか下っているのかわからない。親沢を途中まで滑り登りかえしたトレースだとしたら降り
ては駄目だ。よくみるとどうやら、登っているようだ。であれば、使えるとこまでつかうと割り切る。

恐らくこれまでの好天のために残っていたのだろう。
天気が崩れたら、あっと言う間にトレースが消える。それにこれからは登りかえしが多い。
早速トレースを追う。

主稜線からはガスが徐々に降りてくるが、行く手はまだ視界良好。予報通りだが穏やかな
崩れでよかった。目印の尾根に行くまで気がはやる。あくまで予定の下降路とコンパスを優先し、
トレースを追う。結局人気のあるルートのようで短時間でノリクラスキー場まで下降(20:30)できた。

−−−−
ルート誤りの原因
実際の地形は顕著に感じられない尾根(山の神)で二つの巨大(唐松沢、親沢)な沢が分
けられている。実際に下降したのは顕著でない尾根の付け根から唐松沢に下降していた。
巨大な沢なので距離感が狂い、尾根を過ぎた事がわからず、目の前の緩い尾根を山の神の
尾根と思いこんだ。そしてなによりもコンパスで方向確認しなかった。

リカバリ時の問題
・天候悪化と、救助体制に入られることがストレスとなり現在地、下降ルートの把握をせずに
下降継続。

装備
ビバーク可能な装備はやはり心強い。単独なのでスコップ持参しなかったが、悪天ビバーク時
は明暗を分けるとおもった。


・二日間の滑降でウインドスラブと全層雪崩以外はないと思ったのでウインドスラブ以外は
雪質をみただけ。リカバリ時のウインドスラブは念のためスロープカット(有効ではないと思うが)
で確認。なので2日目はスコップ持参せず。

細かい事
・時計の高度計は数分おきにしか実際の高度を測らないため、チェックポイント
では必ず再計測する。
・磁北線がなければ現在地の正確な把握は不可能だった。
・地図の白黒コピーは暗い時に尾根か沢かわかりづらい。
・ヘッドランプはいつもテントで使う手元用では役不足。ある程度、距離、照射
時間の長いものを。
・食糧は計画的に食べていたのでビバーク分は確保していた。

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