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山行報告


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読み物・エッセー : 山スキー+アルファ(横断スキー行)〜その山の向こう側に見えるもの〜
投稿者: admin 投稿日時: 2007-1-4 23:10:47 (1888 ヒット)



山スキー+アルファ(横断スキー行)〜その山の向こう側に見えるもの〜

三浦 大介


日本の山岳風土に適合した「横断スキー」という形態がある。
スキーの機動力を最大限に活かしたダイナミックでスケールの大きいこの山岳スキーは
魅力的溢れるスタイルの一つとして認識されつつある。

近年、私はこの横断スキーに注目し、その確立を目指してきた。
日本の山でそれを表現しうる最もコアな場所が黒部峡谷であり、利根川源流であろう。
特に周囲を3000m級の山々に囲まれた黒部はその最右翼といえる。
いまだに未知の香りが充満し、スキーアルピニズムを謳歌できる一大スキー処女地だ。

横断スキーの良さは単にスケールの大きいスキーツアーが味わえる、というだけで
はない。
そこでは山岳滑降のテクニックのみでなく、山全般の多岐にわたる登山スキルが必要となる。
そもそも山を知らなければどのラインを滑ってよいかもわからないであろう。
オリジナルなラインを地形図に引く作業にはそれなりの経験、蓄積、そして地道な研究が必要とされる。

そういう意味で横断スキーは岳人スキーヤーにとって申し分の無い、
チャレンジングな山岳スキーの一形態であるといえる。
弱点を狙う横断ラインや滑降重視のライン、これらをうまく組み合わせ、スピーディーな山行が望まれる。
なぜなら3月一杯までは3日間の好天を確保するのがやっとであるからだ。
また、重荷ではスキーの楽しさは半減してしまう。
そして最大のポイントは山越えの斜面を滑るか否かの判断にある。
向こう側へ滑り込んでしまったら、行くのも戻るのも同じくらいの労力が必要だ。

横断スキーの醍醐味・・・それはその山の向こう側に見えるもの、出会うものへの
期待と憧れ、そして恐怖と戦慄にある。
この本質を知ってしまった我々の興味は、そうたやすく尽きることはない。



黒部別山主峰ルンゼの核心部のクライムダウン

<データ>
◇フィールド
黒部、奥利根、越後、会越、飯豊、朝日などの山域には、まだまだ未知の横断ラインが目白押しである。
この中で特に二つの山域を分ける大きな川を横断するという意味では、やはり黒部と奥利根が白眉であろう。
一方、縦走との組み合わせで考えれば南ア、中アなどにも魅力的なラインが溢れている。
岳人スキーヤー諸氏には是非、オリジナルな横断ラインを計画し、そして実践してほしい。

◇適期
目的にスキーの機動力を生かすというものが含まれる分、積雪と天気の安定が条件のひとつになり、
2月下旬から春がメインの季節になる。
残雪期は積雪は安定するが、その分、横断地点のスノーブリッジの状況と増水がネックになる。
これらはその年の積雪の量にも左右される。

◇戦略
すべてが戦略だが、装備食料などは軽量化を巡って検討されるだろう。
登攀要素があるのかないのかも重要だ。
メンバーの力量もしかり。地域による積雪や雪解けなどのデータは、結局現場に通って体の中に
データを蓄積していくしかない。

◇アドバイス
計画したラインをファースト・トライでいける時は運がよいと思ったほうがいい。
何回かトライする、また徐々にその山域に踏み込んでゆく、という感じでじっくりと山行を展開したほうが、
より印象に残る山行ができるのではないかと思う。

(本小文は岳人06年3月号に寄稿したものを一部加筆した)

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