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山行報告


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読み物・エッセー : 冬山失敗談(その2 ) 凍傷やっちゃった...
投稿者: admin 投稿日時: 2008-3-6 11:57:54 (1795 ヒット)

冬山失敗談(その2 )

凍傷やっちゃった...長尾先生はどうしてるのかなぁ

妓粁せ

この失敗のA級戦犯は松島さんである。20周年記念海外登山を目前にぶなでは、正月剣岳で4パーティが展開
した。そこで松島さん曰く「いまどき正月の小窓なんてツボ足だよ、2泊3日でヒョイヒョイ行ってこられる」(失
敗その1)と。
ならば、装備はゴアのツェルト、ガソリン2リッターとシグに満タン、ガス2本、ボーラーメン、味つきアルフ
ァー、ペーパーラジオ、ドリル穿孔ピッケル据付型蝶ネジ1個所固定グラグラスコップ、アルペンの高級安物羽
毛服、裸の25000図、薄手毛手袋(失敗その2)。戦闘意欲といえるものではなく、他のパーティを意識した粋が
り生意気ハズラカシ精神そのもの(失敗その3)。
メンバーはワシとスーパーウーマンクライマーの二人(失敗その4)。

で、行動説明
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ペーパーラジオは受信できなくなり、トランシーバ交信も不可、山カン有界視行動しかない。少々の吹雪である
が、このくらいで停滞するようじゃ剣に来る資格なし、とバカ丸出し的行動開始。高度を上げ、あられのような
猛烈吹雪が顔にあたり痛い。裸25000図は風にさらわれる。冷静さを失い、ルートを見失う。冷静さを欠いたこ
との反省より、そのような条件のもとで行動したことを悔やんだ。

相棒に声をかけても蚊のなくような声で返事。気が遠くなりそう。町で「トランシーバ安直タクシー的ヘリ要請」
のことをけしからんと思っていた自分は、この時、「ヘリでもパトカーでも霊柩車でもいいから来てほしい」と心
底思った。

朦朧として、死にそうなので雪洞掘削開始。体半分掘ったところで「生きられる」と実感。3畳ほどの雪洞完成、
中にツェルトを張る。少し安堵するものの、もう一枚の25000図を眺めながら、この斜面が雪崩たら池の谷に落
ちるのか、真砂沢か、遺体は発見されるかと心配した。しきりに雷鳴が雪洞全体を揺るがした。斜面に降ったあ
られが落ちてきて、洞に入り込む。夜通し除雪。羽毛服ぐっしょり。手袋ジットリ。ショボショボと空焚き。寒
くて横になる気がせず、座りながら夜を明かす。

翌日昼ころ、雪洞の上で足音が。いさんで外へでると、後続パーティだった。「ルートはここでいいんすかねー」
と聞くと、「間違いないでしょう」と。助かった。これで勝手知ったる三ノ窓へいける。すぐさま支度して、行動
開始、三ノ窓へついた。夏にここでみんなと戯れことを懐かしく思い出した。今晩は余ったガスで豪勢に空焚き
パーティ(雑誌で読んだ、ヒマラヤで登頂後に余った酸素をテントに充満させたときの言葉の酸素パーティから)
だと、設営を急いだ。

ピッケルにスコップを挿すため蝶ネジを回そうとするがうまくいかず、歯でやろうとしたら唇が張り付き、無理
にはがすと、血がしたたり落ちた。三ノ窓側少し下ったところにL字にカッティング開始。以前の山行経験で斜
面を滑り落ちる雪でテント圧迫反省も何度もあるが、稜線にツェルトじゃしょうがない。雪面にポタポタ血が落
ちるがどうでもよい。濡れた手袋、グラグラスコップの金属部分をしっかり抑えて、パーティ開催のために1時
間半ほど土木作業に精を出した。

テントに入る段になって、スパッツのファスナーがつかめない。もしやと思って手袋をはずすと、透きとおるよ
うに真っ白くなった右手指全部。やってしまった。さすがに今日は奥に入れてもらい、湯煎を開始。相棒に湯加
減を見てもらいながら、なべを加熱。でも指は戻らない。

翌日行動開始、池ノ谷はカリカリで安心。早月を下降中、原田、沢村パーティと感動の再会。凍傷のことを伝え、
下山を急いだ。途中いくつかの指に水泡ができはじめ、まだこの指生きていると思った。富山で、とんかつ屋た
っちゃんのぶなのノートに「もー冬山はいやだー、リーダーもしたくない」などと泣き言を、酔っ払いながら、
ぶよぶよの右手で書きなぐった記憶がある。

帰宅して、正月なので当直の外科を探し、診てもらう。注射器で体液を吸いだす医者。もう一軒ハシゴすると、
本を読みながら処置するお医者さんも。当時凍傷の権威とされていた、川崎の聖マリアンナ大学へいってみた。
そのころはガキなのでその病院へ行けば、いつでもよいと思っていた。そこでやはり、当直医が「松戸あたりに外
科ないのぉー。どーしてここまで来たの」だって。看護婦が笑いながら、それなら長尾先生でしょ。○曜日が担当
よ、というので予約をとり再度伺った。

看護婦が言うには、「センセ、またスゴイ患者さんが来るわよ」と伝えてあるという。お会いするとほーなるほど。
爪を押すと白くなり、離すとピンクになる現象を指して「これフラッシングというんだよ」などと講釈。写真を
バシバシ撮られる。「大丈夫治るよ、ただかろうじて生きているのだから、化膿させたらおしまいだよ」、といわ
れ、ユベラ(血管拡張剤)、KR250(防腐剤)をもらって帰ってきた。

要するに、火傷とか凍傷は感染を防くだけで、あとは自然治癒に任せるということで、治療といえるものはでき
ないとこのときは思った。ほおずきのあの赤い部分のブヨブヨのような手では、仕事するにも左手でペンを持っ
た。その後5指全部、真黒く硬化した分厚い皮膚が爪ごと脱落した。少し指が細くなった。爪がないと、落とし
たコインを拾うのも大変、不便。気をつけましょう。
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だらだら書いたが、一番言いたいことは「手袋の替え時」。考えてみれば、それまでは比較的に乾燥している穂高
ばかりで、少々湿っていてもシュラフにいれて寝るとか、または我慢して、指先がサックのよう凍った手袋でも
何とか替えず山行を終えていたことだった。もったいない、これから何かあるか分からないという不安があった。
ご承知のとおり、湿度の高いところほど凍傷にかかりやすく、反面なぜか湿度の高いところは寒く感じられない。
東京の早朝が一番寒いと思う。地域別長期山行手袋替時は各人それぞれ考えたほうがよいと思った。
今の手袋事情を教えてほしい。

■解説
失敗その1:エライ人の話を鵜呑みにせず、ちゃんと自分で調べて考える。
失敗その2:軽量化という言葉の甘美な誘惑に惑わされない。
失敗その3:こーゆーバカモノの話は笑ってやるだけでいい。
失敗その4:剣をなめすぎ。

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